2015年01月08日

認知と相続

新年あけましておめでとうございます。


今年もスマイル相続センターをどうぞよろしくお願いいたします。


さて、新年一回目のコラムは、子の「認知」とそれにかかわる相続の問題についてお話ししたと思います。


子の「認知」とは、結婚していない男女間で産まれた子に対し、男性が法律上の「父」であると認める制度のことを言います(女性の場合、法律上の「母」であることは、分娩の事実により当然発生すると解するのが判例です(最判昭37・4・27))。


認知をすることにより、その父との間に親子関係が発生し、子は非嫡出子(妻が婚姻中に懐胎した子および妻が婚姻後に出生した子を「嫡出子」と呼び、そうでない子を「非嫡出子」と呼びます)となり、父の相続人となることができます。


それでは、非嫡出子と嫡出子の違いはどのようなことがあるのでしょうか。


ひとつは、戸籍簿上の扱いで、非嫡出子の場合は、母子の戸籍に認知日、認知者、父の欄の記載等がされます。


もうひとつは、相続分の規定でした(もっとも、後述の通り判例変更が行われ、民法も改正されました)。


改正前民法900条4号ただし書では、「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とし」と規定していました。立法趣旨としては、非嫡出子の利益を考えて相続権は認めるが、法律婚を尊重するためには、非嫡出子と嫡出子の間に差をつけて法律婚を尊重していることを示し、それによって法律婚を奨励するということが挙げられています。


このような規定に対し、憲法14条の法の下の平等などに反するとして、過去何度も訴訟が提起されてきましたが、合憲判決が繰り返されていました(最判平7・7・5、最判平15・3・28、最判平15・3・31、最判平16・10・14など)。


ところが、一昨年この改正前民法900条4号ただし書を憲法14条の法の下の平等に反し、違憲とする最高裁決定(最決平25・9・4)が出されました。
※決定は、訴訟手続上の付随的事項の処理や、迅速性が要求される事項に用いられます。


少々長いですが、当該決定によると、「昭和22年民法改正時から現在に至るまでの間の社会の動向,我が国における家族形態の多様化やこれに伴う国民の意識の変化,諸外国の立法のすう勢及び我が国が批准した条約の内容とこれに基づき設置された委員会からの指摘,嫡出子と嫡出でない子の区別に関わる法制等の変化,更にはこれまでの当審判例における度重なる問題の指摘等を総合的に考察すれば,家族という共同体の中における個人の尊重がより明確に認識されてきたことは明らかであるといえる。そして,法律婚という制度自体は我が国に定着しているとしても,上記のような認識の変化に伴い,上記制度の下で父母が婚姻関係になかったという,子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されず,子を個人として尊重し,その権利を保障すべきであるという考えが確立されてきているものということができる」とし、「本件規定は,遅くとも平成13年7月当時において,憲法14条1項に違反していたものというべきである」と述べました。
※ただし、「解決済みの事案にも効果が及ぶとすることは,著しく法的安定性を害することになる」ことから、平成13年7月以降に相続が開始し、すでに遺産分割が終了したものまでには、効果が及ばないとします。


そして、当該決定を受け、平成25年12月11日に改正民法が公布・施行され、民法900条4号ただし書から、非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1とする規定は削除されました。


このように、嫡出子、非嫡出子の区別は少なくとも相続の分野ではもう必要がなくなる時代になってきました。いろいろな考え方があると思いますが、子どもは親を選べないのですから、親の都合で相続分の差別が起きるのは、不合理であると言えるのではないでしょうか。その点で、最高裁の取った判断は妥当なものかと思われます。


難しい話ですが、いかがでしたでしょうか。


皆様が笑顔でいられますように。



代表 長岡

ワンポイント

※参考文献 二宮周平『家族法 第3版』(新世社) 裁判所職員総合研修所『民事訴訟法講義案―再訂補訂版―』(司法協会)

  • 「成年後見人」ってなあに?

    「成年後見人」ってな
    2013/12/27更新

  • 年末最後の公証役場で任意後見契約を締結

    年末最後の公証役場で
    2013/12/26更新

  • 非嫡出子の相続分の規定(民法900条4号但書)の違憲判決の適用時期について

    非嫡出子の相続分の規
    2013/12/24更新

  • 非嫡出子の相続分の規定(民法900条4号但書)の違憲判決について

    非嫡出子の相続分の規
    2013/12/23更新