2016年10月05日

ペットと相続

〔事例〕
 A(85歳)は、配偶者に先立たれ、一人で暮らしており、子どもはB、C、Dの3人がいましたが、それぞれ結婚し、別の世帯となっていました。Aは、一人で暮らすのが寂しくないようにと、Bから、猫(3歳)と犬(2歳)をもらい、飼っていました。最近、Aは、自分は高齢であり、この先死亡したときには、誰が2匹の面倒を見るのかと心配になっていました。Aは、2匹の面倒を見てもらうため、どのような法的手段を採ることができるでしょうか。


こんにちは。


スマイル相続センターです。


事例のように、ご高齢の方でも、お子様から寂しくないようにと動物をもらったり、捨て猫や野良猫を保護して飼ったりする方もいらっしゃると思います。


ペットも、最近では家族の一員として扱われるぐらいに大事にされるようになってきており、自分の死後に、その面倒を誰に見てもらうかも飼主にとっては重要なこととなってくるのではないでしょうか。


では、具体的にペットの面倒を見るには、どのような方法が考えられるか、検討していきましょう。


まず、前提として、法律上動物は、「物」にあたります。財産を相続できるのは、「人」又は「法人」だけなので、ペットに対して、遺産を相続させることはできません。


そこで、①人に対してペットの面倒を見るという負担付の遺贈をすることが考えられます。


この場合、ペットの病院代や食事代等にお金がかかりますので、その負担分について金銭等を遺贈することで填補してもらい、ペットの面倒を見てもらうという手段です。


事例の場合、Aには3人の子どもがいるので、誰かを指定して、猫と犬を両方飼ってもらうということにしてもいいですし、又はBが猫をCが犬をというように、1匹ずつ面倒を見てもらうことも可能です。


仮に、Aに子どもがいないとしたら、全くの第三者に対して負担付遺贈をすることも可能です(例えば、捨て猫、捨て犬の保護施設のような場所に)。ただし、急に面識のない第三者に負担付遺贈をしても、第三者が遺贈の放棄をする可能性がありますから、きちんと信頼関係を築いたうえで、事前に負担付遺贈をしたい旨を伝えておくことが必要でしょう。


なお、負担付遺贈の場合においては、負担を受けるということが遺贈の前提ですから、ペットの面倒を見ないような受遺者(遺贈を受ける人)がいる場合には、その負担付遺贈を取消すことが可能ですので、遺言執行者を選任する等して、きちんとペットの面倒を見ているかどうか、監視できる人がいることが望ましいでしょう。


このように、負担付遺贈をするというのが1つの方法です。


次に、②遺言信託をすることが考えられます。


信託とは、委託者が信頼できる者に対して、自己の財産(信託財産)を渡し、委託者の目的のためにその財産の管理・処分等の行為をすることをいいます。


こう言われてもわかりづらいと思いますので、事例の登場人物で考えてみましょう。


A(委託者)は、遺言書に、自分の死後にペットの猫と犬の面倒を見てもらうため、自己の財産を、信頼できるB(受託者)に対して渡し、その財産からペットに関する費用を支出してもらうという形を用いるのが、遺言信託になります。


この信託における特徴としては、信託財産は、受託者の財産とは違うものとして扱われるので、受託者が破産してしまっても、信託財産はそのまま残ります。


以上の2つが、主に考えられる手段です。


自分の死亡後に残されるペットのために、生前からきちんと対策を取っておくことをお勧めします。


皆様が笑顔でいられますように。


代表 長岡

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