2016年11月02日

同性カップルの法的保護


こんにちは。


スマイル相続センターです。


今回は、同性カップルの法的保護についてお話ししたいと思います。


現在の日本では、戸籍法上婚姻の届出においては、「夫婦」が称する氏を記載しなければならないとしており、「夫婦」という言葉の解釈上男女間のみ婚姻ができるものと解釈されます。したがって、同性カップルについては、法改正しないかぎり、法律上の婚姻は認められないと考えられます。


しかし、婚姻をすることで、各種配偶者控除や遺族給付、配偶者の遺産の相続等ができますし、そのような法的保護が必要なのは、同性カップルであろうと、異性カップルであろうと変わりはないといえます。


そして、同性カップルの法的保護の必要性が意識される中、昨年、渋谷区で「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」(同性パートナーシップ条例)が可決され、同性カップルが、同性パートナーシップ証明を受けることで、一定の法的保護を受けることが可能となりました(例えば、16条では、渋谷区営住宅条例の適用にあっては、本条例の趣旨を尊重しなければならないとされています)。


この同性パートナーシップ証明を受けること自体、当事者相互に任意後見受任者とする公正証書を作成し、かつ、その登記をすることが原則として必要など(10条2項1号参照)、届出で済む婚姻と比べて、ハードルは高いのですが、同性カップルの権利保護に一歩前進したというところでしょうか。


もちろん、婚姻とは異なりますので、上に挙げたような婚姻による配偶者の法的保護を受けることはできませんから、同性婚を可能にするなど、抜本的な法改正が必要なことには変わりません。


では、そもそも同性婚を認めることは、憲法上許されるのでしょうか。


憲法24条を見てみますと、「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し」と規定しています。そうすると、「あれ?やはり異性婚しか認められないんじゃないの?」と思うかもしれません。しかし、学説上は、同性婚を法律で認めたとしても、憲法24条違反にならないとするのが通説です。


通説がなぜこう考えるのかは、憲法24条制定の歴史的経緯を確認するとよくわかります。戦前の日本は家父長制で、女性の婚姻が戸主に勝手に決められてしまうことなどもあり、女性の婚姻の自由が著しく制限されている状態でした。そこで、憲法24条は、「合意のみ」ということを強調して、戸主の意向は関係ないということを示しました。したがって、この憲法24条の重要な部分は、「合意のみ」というところで、「両性の」という部分は強調する必要はないと考えるわけです。


もちろん、「両性の」という部分を強調する見解もありますし、2015年2月18日の参議院本会議で、安倍首相は、憲法24条は、同性カップルに婚姻の成立を認めることは想定していない旨発言していますから、政府も基本的にこのような考えに立脚していると思われます。


しかし、24条の草案を起草した故ベアテ・シロタ・ゴードンさんの考えからすると、通説のように、戦前の家父長制の反省を踏まえて「合意のみ」ということを強調したものと考えるのが素直かと思われます。


ただ、いずれにせよ現行戸籍法では、同性婚は認めていないと考えられますから、法改正が必要なことは間違いないので、立法的な解決が望まれます。


皆様が笑顔でいられますように。


代表 長岡

ワンポイント

興味のある方は、渋谷区パートナーシップ条例を参照してみてください。前文はなかなか興味深い内容となっています。https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kusei/jorei/jorei/lgbt.html                                      参考文献:二宮周平『家族法 第4版』(新世社)

  • ワンコイン(500円)「相続・遺言」相談会

    ワンコイン(500円
    2018/11/06更新

  • 平日仕事で相続の相談に来れない方へ 土日無料相談会 開催のお知らせ

    平日仕事で相続の相談
    2018/10/28更新

  • 行政書士に聞く!相続・遺言 無料相談会開催のお知らせ

    行政書士に聞く!相続
    2018/10/22更新

  • 告知!! 無料相談会 開催のお知らせ ※追記あり

    告知!! 無料相談会
    2018/10/11更新