2016年11月10日
女性の再婚禁止期間①
こんにちは。
スマイル相続センターです。
今回は、昨年重要な判例が出された、女性の再婚禁止期間のことについてお話したいと思います。
民法の規定によれば、女性は離婚の日から一定期間(条文上明確に書いてありますが、期間を書いてしまうとネタバレになってしまうので、今は伏せておきます)までは再婚することができません(民法733条1項)。
なぜ、このような規定が必要なのでしょうか。
それは、父性の重複を防ぐためと言われています。民法では、婚姻の解消後300日以内に生まれた子ども、又は婚姻の成立の日から200日を経過した後に生まれた子どもは、婚姻中に懐胎したものと推定されます(民法772条2項)。
このような条文だけだと分かりにくいので、例えば、次のような状況を考えてみましょう(女性の再婚禁止期間がないものとして考えてください)。
2016年1月1日 A(妻)・B(夫)婚姻
↓
2016年3月1日 A・B離婚
↓
2016年3月1日 A・C婚姻
↓
2016年11月1日 AがDを出産
極端な事例ですので、あり得ないじゃないかと突っ込まれるかもしれませんが、ご容赦ください。
さて、ここでA・Bが離婚したのは、3月1日ですから、その後300日以内(単純化して、2017年1月1日以内とします)に生まれたこどもは、A・Bの子どもと推定されます。そして、A・Cの婚姻成立後、200日経過した後(単純化して、2016年10月1日以降とします)に生まれたこどもは、A・Cの子どもと推定されます。
そうすると、11月1日に生まれたDは、Bの子と推定されるし、Cの子とも推定されることになります。これを父性の重複といいます。
つまり、法律上の父親と推定される人が複数いてしまうわけですね。
そこで、再婚禁止期間は、このような父性の重複を防ぐために設けられました。再婚禁止期間を設けることで、父性が推定される期間が被らないようにするわけです。
みなさんは、この再婚禁止期間についてどのように思うでしょうか。
「女性にだけこのような再婚禁止の負担を押し付けるのはおかしい」
「父性の重複を防ぐためなのだから、仕方がないのではないか」
などなど、さまざまな考え方があると思います。
ただ、再婚できない当事者からすると、このような再婚禁止期間が苦痛となるわけです。そこで、昔から再婚禁止期間の規定は憲法14条1項などに反して違憲であると主張して争われていたのですが、昨年重要な判例が出されました(最判平27・12・16)。
前提として注意してほしいのは、再婚禁止期間は、この訴えが提起された時、180日間ありました。そして、原告は、再婚禁止期間自体が違憲であるとの主張をしましたが、仮に再婚禁止期間自体は違憲でないとしても、180日間までの期間は必要なく、100日で足りるから、100日を超える部分が違憲であるとの主張もしました(上述した例から考えてもらえればわかると思いますが、再婚禁止期間は100日あれば、父性の重複はしません)。
では、判例はどのように考えたのでしょうか…と判例に言及したいところですが、少し長くなってしまいましたので、次回判例がどのように考えたのかをお話ししたいと思います。
皆様が笑顔でいられますように。
代表 長岡