2017年02月22日

相続税対策としてなされた養子縁組は有効か?

こんにちは。


スマイル相続センターです。


今回は、養子縁組無効について争われた事例についての最新判例(最判平29.1.31)が出されたので、この判例についてご説明したと思います。


事例としては、以下の通りです。
【事例】
被相続人Aには、B、C、Dの3人の子どもがいて、配偶者はすでに死別しています。Bには子どものEがいるところ、Aは、相続税対策として、Eと養子縁組をしました。その後、Aは死亡して相続が開始することになりましたが、C及びDが、AとEの間の養子縁組は、もっぱら相続税対策のものであり、縁組意思(養親と養子との間に養親子関係を発生させようとする意思)を欠く無効なものであるとして、Eに対して養子縁組無効確認訴訟を提起しました。


さて、判例の結論を言う前に、押さえてほしいポイントを指摘しますと、AとEとの養子縁組が有効であると、①C及びDの相続分が減ること、②節税効果が生まれることの2点です。


①の点については、Eが養子となっていなければ、C及びDの相続分は、3分の1ずつです。ところが、Eが養子となることで、Eも相続人に加わるため、C及びDの相続分は4分の1ずつとなります。


②の点については、相続税法の規定によれば、相続人が増えることで、課税価格からの基礎控除額が増えることになります。例えば、平成27年1月1日以降に相続が開始した場合の基準でいえば、基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」です。
なお、本件では問題となりませんが、被相続人に実子がいる場合、養子は1人までしか法定相続人の数として認められません。


では、この2点を抑えた上で、判例の結論を確認してみましょう。
「養子縁組は、嫡出親子関係を創設するものであり、養子は養親の相続人となるところ、養子縁組をすることによる相続税の節税効果は、相続人の数が増加することに伴い、遺産に係る基礎控除額を相続人の数に応じて算出するものとするなどの相続税法の規定によって発生し得るものである。相続税の節税のために養子縁組をすることは、このような節税効果を発生させることを動機として養子縁組をするものにほかならず、相続税の節税の動機と縁組をする意思とは、併存し得るものである。したがって、専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても、直ちに当該養子縁組について民法802条1号にいう『当事者間に縁組をする意思がないとき』に当たるとすることはできない」


判例は、養子縁組をする際に、節税する意図があったとしても、養子縁組をする意思と併存するので、そのような縁組も有効であるとしました。
おそらく、C及びDは、上記①で指摘したように、自己の相続分が減ることについて不満があるために、相続税対策として行われたAE間の養子縁組は無効であるとの主張をしたと思われますが、そのようなC及びDの主張は認められませんでした。


今後、相続を考える際には、相続税対策として、養子縁組をすることも考えられるかもしれませんね。養子縁組を行いたい場合には、当センターまでお気軽にご相談ください。


皆様が笑顔でいられますように。


代表 長岡

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