2017年02月28日

法定後見制度と任意後見制度

こんにちは。


スマイル相続センターです。


今回は、法定後見制度と任意後見制度の違いについてお話ししたいと思います。


この両者は、言葉からすると似ており、後見制度の対象となる人(以下、本人)をサポートするという点では共通する部分もありますが、制度としては異なります。


まず、法定後見制度からご説明します。
法定後見制度は、①成年後見、②保佐、③補助の3類型に分かれます。以下、個別にどのような制度か概観を確認していきましょう。


①成年後見
成年後見は、本人が事理弁識能力を欠く場合に、成年後見人を選定する制度です。成年後見人が、本人に代わって(本人を代理して)、本人のために法律行為をします。
さて、事理弁識能力とはなんぞや?となりますよね。事理弁識能力とは、自己の行為の結果を弁識できる能力と言われています。要するに、本人に全く判断能力がないような常況と思ってもらえばわかりやすいかもしれません。
このような場合、原則として本人は誰かと有効な法律行為(売買契約等)をすることができません。そうすると、例えば、本人にお金が必要なときに、本人所有の不動産を有効に売却することができません。判断能力を欠いているために、不当に安い値段で売却してしまうことも考えられてしまうからです。そこで、正常な判断能力を有する成年後見人が本人のために、本人に代わって、正当な値段で不動産を売却したりするわけです。
なお、そうはいっても、本人が、日常の食料品の購入やガス・電気代の支払いまでできないとなると著しい不利益となりますので、このような日常生活に関する行為は、本人が単独で有効に行うことができます。


②保佐
保佐は、本人の事理弁識能力が著しく不十分な場合に、保佐人を選定する制度です。本人は、原則として法律行為をすることができます。ただ、一定の重要な法律行為については、保佐人の同意が必要とします。例えば、借金をすること、贈与をすること、建物の新築、改築等をすること等については、保佐人の同意が必要です。保佐人の同意なくして、これらの行為をした場合、保佐人はその行為を取り消すことができます。
なお、審判により、特定の法律行為についての代理権を保佐人に付与することができます。


③補助
補助は、本人の事理弁識能力が不十分な場合に、補助人を選定する制度です。保佐の場合と同じく、本人は、原則として法律行為をすることができます。そして、補助人の同意の範囲については、保佐人の同意が必要な行為の中の一部だけを選ぶことになります。ですから、例えば、保佐人のところで挙げた例のうち、借金をすることだけに限定して、補助人に同意権を与えるというようにするわけです。
保佐にしろ、補助にしろ、このように同意の範囲を限定するのは、成年後見の場合よりも、本人に事理弁識能力がある場合ですから、なるべく本人の意思を尊重し、その行為を制限するのは控えるべきだからです。
なお、保佐と同様に、補助人の同意がない行為は、補助人は取り消すことができますし、審判により、特定の法律行為についての代理権を補助人に付与することができます。


以上が、法定後見制度の3類型の簡単な説明になります。次に、任意後見制度について確認してみましょう。


任意後見制度は、本人の事理弁識能力に問題はないけれども、事理弁識能力が衰えたときには、本人に代わって、本人のために法律行為を行うというものです。任意後見制度は、本人と任意後見人との間で契約を結ぶことになりますので、その契約内容については、自由に決めることができます(もちろん、違法な内容はできません)。
法定後見制度の場合、本人の事理弁識能力が衰えていることが前提ですが、任意後見制度は、本人の事理弁識能力については問題がないことを前提としているのが、大きな特徴です。
また、法定後見の場合、いずれも家庭裁判所の審判を経なければ成年後見人等になることはできませんが、任意後見の場合は、任意後見契約を公正証書の形で作成すればよいため、簡便であるということも特徴の1つに挙げられます。


以上説明してきたように、法定後見制度と任意後見制度では、本人の事理弁識能力の違いがありますし(法定後見制度ではさらに3類型)、本人をサポートする成年後見人等の選定方法も異なります。
どのような制度を用いるにせよ、本人にとっての利益となることを最優先にする、その視点が大切だと思います。


皆様が笑顔でいられますように。


代表 長岡

ワンポイント

事理弁識能力があるかどうか、ある場合にはどの程度かの判断は、基本的に医師の診断によります。仙台家庭裁判所では、実際に診断にあたる医師の参考になるようにと、診断書作成の手引も作成しています。http://www.courts.go.jp/sendai/vcms_lf/koken05-5.pdf

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