2014年11月26日

法律上の夫婦の「日常の家事」とは?

こんにちは。


スマイル相続センターです。


さて、本日は相続問題とは異なるのですが、夫婦の日常の家事に関する連帯責任についてお話したいと思います。


民法761条は、「夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。」と規定します。


これは、日常の家事も夫婦共同の仕事だから、それに伴う債務も共同の債務にすべきであり、また、法律行為の相手方も、日常家事に関する取引については、夫婦双方を取引相手と考えるのが普通ということから、第三者保護(法律行為の相手方)のために、夫婦の連帯責任としたと考えられています。


ここで、「日常の家事」とはなんだ?と疑問が湧くと思います。


日常の家事とは、婚姻生活を営む上で日常必要とされるものです。例えば、衣食住に係る物品の購入、子どもの養育に必要なもの、家族の教養娯楽保健費用などが当たります。したがって、いわゆる料理や掃除といった「家事」を意味するものではありません。


判例は、この日常の家事の判断基準について、「夫婦の共同生活の内部的な事情やその行為の個別的な目的のみを重視して判断すべきではなく、さらに客観的に、その法律行為の種類、性質等をも充分に考慮して判断すべき」としています(最判昭44・12・18)。


具体的には、妻が約19万円の子ども用学習教材を購入した事案では、夫が予備校の常務理事をしており、月収が30万円であったことから、日常の家事の範囲内であるとしました(札幌地判昭58・12・5)。一方で、妻が約72万円の子ども用学習教材を購入した事案では、夫婦が借金を抱えていること、子どもの教育に熱心なわけではないこと、訪問販売員に午後11時近くまで粘られたこと等の事情から、本件子ども用学習教材の売買契約は日常の家事の範囲外にあるとしました(八女簡判平12・10・12)。


このように、単に学習教材であるから日常の家事に単純に含まれるということではなく、さまざまな事情を総合考慮して、何が日常の家事の範囲かが判断されることになります。


日常の家事の範囲内にあるかどうかは、法律行為の相手方が立証しなければならないことですので、普通は夫婦の日常家事の範囲内にあるかどうかを判断して法律行為をすることはないと思います。ただ、高額な商品等を購入する際には、上記判例のような観点を考慮して日常の家事の範囲内にあるかどうかを考えてみるのも面白いと思います。


それでは、皆様が笑顔でいられますように。


代表 長岡

ワンポイント

※参考文献 二宮周平『家族法 第3版』(新世社)

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